今回あつかう内容は展開と因数分解です。
本記事を通して基本的な展開や因数分解を解けるようになっていただければ幸いです。
展開
最初に説明するのは展開です。例を示します。
\((x+2)^{2}=x^{2}+4x+4\)
\((2x+1)^{2}=4x^{2}+4x+1\)
\((x+y)^{2}=x^{2}+2xy+y^{2}\)
上の例において左辺から右辺に変換する操作を展開と言います。
分配法則を用いています。より細かく書くと
\(\begin{align} (x+2)^{2}&=(x+2)(x+2)\\ &=x^{2}+2x+2x+4\\ &=x^{2}+4x+4 \end{align}\)
\(\begin{align} (2x+1)^{2}&=(2x+1)(2x+1)\\ &=4x^{2}+2x+2x+1\\ &=4x^{2}+4x+1 \end{align}\)
\(\begin{align} (x+y)^{2}&=(x+y)(x+y)\\ &=x^{2}+xy+yx+y^{2}\\ &=x^{2}+2xy+y^{2} \end{align}\)
となります。特に難しいことは無いと思います。
- \((a+b)^2=a^{2}+2ab+b^{2}\)
- \((a+b)^3=a^{3}+3a^{2}b+3ab^{2}+b^{3}\)
- \((a-b)^3=a^{3}-3a^{2}b+3ab^{2}-b^{3}\)
- \((a+b+c)^2=a^{2}+b^{2}+c^{2}+2(ab+bc+ca)\)
- \((a+b)^2=a^{2}+2ab+b^{2}\)
- \((a+b)^3=a^{3}+3a^{2}b+3ab^{2}+b^{3}\)
- \((a-b)^3=a^{3}-3a^{2}b+3ab^{2}-b^{3}\)
- \((a+b+c)^2=a^{2}+b^{2}+c^{2}+2(ab+bc+ca)\)
そこそこの頻度で出てくるので使ってるうちに覚えると思います。
忘れたとしても分配法則がもとになっているので地道に計算すれば導くことが出来ます。
また、展開された式は和の形であらわされます。
例題を示すので解いてみてください。
以下の式を展開せよ。
\((1)(a+b)(a^{2}-ab+b^{2})\)
\((2)(a-b)(a^{2}+ab+b^{2})\)
\((3)(a+b+c)(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca)\)
\((4)(a+b+c+d)^{2}\)
以下の式を展開せよ。
\((1)(a+b)(a^{2}-ab+b^{2})\)
\((2)(a-b)(a^{2}+ab+b^{2})\)
\((3)(a+b+c)(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca)\)
\((4)(a+b+c+d)^{2}\)
解答
\(\begin{align}(1)(a+b)(a^{2}-ab+b^{2})&=a^{3}-a^{2}b+ab^{2}+a^{2}b-ab^{2}+b^{3}\\ &=a^{3}+b^{3}\\ \end{align}\)
\(\begin{align}(2)(a-b)(a^{2}+ab+b^{2})&=a^{3}+a^{2}b+ab^{2}-a^{2}b-ab^{2}-b^{3}\\ &=a^{3}-b^{3}\\ \end{align}\)
\(\begin{align}(3)(a+b+c)(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca)=&a^{3}+ab^{2}+ac^{2}-a^{2}b-abc-a^{2}c\\ &b^{2}+a^{2}b+bc^{2}-ab^{2}-b^{2}c-abc\\ &c^{3}+a^{2}c+b^{2}c-abc-bc^{2}-c^{2}a\\ =&a^{3}+b^{3}+c^{3}-3abc \end{align}\)
\((4)(a+b+c+d)^{2} においてa+b=X, c+d=Y とおくと\)
\(\begin{align} (a+b+c+d)^{2}&=(X+Y)^{2}\\ &=X^{2}+2XY+Y^{2}\\ &=a^{2}+2ab+b^{2}+2(a+b)(c+d)+c^{2}+2cd+d^{2}\\ &=a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}+2(ab+ac+ad+bc+bd+cd) \end{align}\)
(4)は \(a+b=X, c+d=Y\) と置き \((a+b)^{2}=a^{2}+2ab+b^{2}\) の公式を利用できるようにしてます。
これは、\((a+b+c)^{2}\) を計算するときなども使えるので覚えておくと便利かもしれません。
\(\begin{align}(1)(a+b)(a^{2}-ab+b^{2})&=a^{3}-a^{2}b+ab^{2}+a^{2}b-ab^{2}+b^{3}\\ &=a^{3}+b^{3}\\ \end{align}\)
\(\begin{align}(2)(a-b)(a^{2}+ab+b^{2})&=a^{3}+a^{2}b+ab^{2}-a^{2}b-ab^{2}-b^{3}\\ &=a^{3}-b^{3}\\ \end{align}\)
\(\begin{align}(3)(a+b+c)(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca)=&a^{3}+ab^{2}+ac^{2}-a^{2}b-abc-a^{2}c\\ &b^{2}+a^{2}b+bc^{2}-ab^{2}-b^{2}c-abc\\ &c^{3}+a^{2}c+b^{2}c-abc-bc^{2}-c^{2}a\\ =&a^{3}+b^{3}+c^{3}-3abc \end{align}\)
\((4)(a+b+c+d)^{2} においてa+b=X, c+d=Y とおくと\)
\(\begin{align} (a+b+c+d)^{2}&=(X+Y)^{2}\\ &=X^{2}+2XY+Y^{2}\\ &=a^{2}+2ab+b^{2}+2(a+b)(c+d)+c^{2}+2cd+d^{2}\\ &=a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}+2(ab+ac+ad+bc+bd+cd) \end{align}\)
\((4)は a+b=X, c+d=Y と置き (a+b)^{2}=a^{2}+2ab+b^{2} の公式を利用できるようにしてます。\)
\(これは、(a+b+c)^{2} を計算するときなども使えるので覚えておくと便利かもしれません。\)
因数分解
因数分解は展開の逆操作です。例を示します。
\(x^{2}+4x+4=(x+2)^{2}\)
\(4x^{2}+4x+1=(2x+1)^{2}\)
\(x^{2}+2xy+y^{2}=(x+y)^{2}\)
展開のときに出した例の式を左辺と右辺について逆にしたバージョンですね。
この場合、左辺から右辺に変換する操作を因数分解と言います。
展開より因数分解のほうが重要です。展開する必要がある問題はあまりありませんが因数分解が必要になるケースはそこそこあります。
しかし、因数分解は展開の逆操作であって単純な公式が存在しないので色々な問題を通して慣れるしかありません。
何故、公式がないのでしょうか。
\((ax+b)(cx+d)\) を展開すると \(acx^{2}+(ad+bc)x+bd\) です。
つまり、二次式 \(acx^{2}+(ad+bc)x+bd\) を因数分解すると \((ax+b)(cx+d)\) となることが分かります。
ここで、例えば \(x^{2}+5x-6\) を因数分解することを考えると、係数比較により
\begin{cases} ac=1\\ ad+bc=5\\ bd=-6 \end{cases}
となりますが、これは文字 \(4\) に対して式が \(3\) しかないので連立方程式として解くことはできません。
これは解ける場合と解けない場合があるということ。
そして、解になるパターンを予想して探す必要があります。
今回の場合は \(a=c=1, b=6, d=-1\) が候補の一つになります。
よって、\(x^{2}+5x-6\) を因数分解すると \((x+6)(x-1)\) となります。
コツは積の部分に注目すること。つまり、\(acやbd\) の部分です。
\(3x^{2}+9x+27=3(x^{2}+3x+9)\)
\(14x^{2}+14x+7=7(2x^{2}+2x+1)\)
\(3x^{2}+9x+27=3(x^{2}+3x+9)\)
\(14x^{2}+14x+7=7(2x^{2}+2x+1)\)
共通因数がある場合は一番最初にくくりだします。
そのほうが式がシンプルになり因数分解しやすいからです。
- \((a+b)(a-b)=a^{2}-b^{2}\)
- \((a+b)^{2}=a^{2}+2ab+b^{2}\)
- \((a-b)^{2}=a^{2}-2ab+b^{2}\)
- \((a+b)(a^{2}-ab+b^{2})=a^{3}+b^{3}\)
- \((a-b)(a^{2}+ab+b^{2})=a^{3}-b^{3}\)
- \((a+b)^{3}=a^{3}+3a^{2}b+3ab^{2}+b^{3}\)
- \((a-b)^{3}=a^{3}-3a^{2}b+3ab^{2}-b^{3}\)
- \((a+b+c)(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca)=a^{3}+b^{3}+c^{3}-3abc\)
- \((a+b)(a-b)=a^{2}-b^{2}\)
- \((a+b)^{2}=a^{2}+2ab+b^{2}\)
- \((a-b)^{2}=a^{2}-2ab+b^{2}\)
- \((a+b)(a^{2}-ab+b^{2})=a^{3}+b^{3}\)
- \((a-b)(a^{2}+ab+b^{2})=a^{3}-b^{3}\)
- \((a+b)^{3}=a^{3}+3a^{2}b+3ab^{2}+b^{3}\)
- \((a-b)^{3}=a^{3}-3a^{2}b+3ab^{2}-b^{3}\)
- \((a+b+c)(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca)=a^{3}+b^{3}+c^{3}-3abc\)
\(4, 5, 8\) は展開の例題で出したものです。
この形の因数分解は機械的に処理できるので覚えておきましょう。
\(2x^{2}+7x+3=(2x+1)(x+3)\)
\(3x^{2}-4x-7=(3x-7)(x+1)\)
\(2x^{2}+7x+3=(2x+1)(x+3)\)
\(3x^{2}-4x-7=(3x-7)(x+1)\)
二次式 \(acx^{2}+(ad+bc)x+bd\) を因数分解すると \((ax+b)(cx+d)\) となるので二次式の \(ac, bd\) 部分に注目して候補を絞り因数分解する。
因数分解は慣れが重要です色々な問題を解いてみてください。
因数分解は積の形であらわされます、これを利用して整数分野や \(n\) 次方程式を解くときに用いたりします。
以下に例題を示すので解いてみてください。
以下の式を因数分解せよ。
(1)\(x^{2}+3x+2\)
(2)\(x^{3}-3x^{2}+3x-1\)
(3)\(x^{3}+27\)
(4)\(3x^{2}+7x-6\)
(5)\(4x^{2}-10x-6\)
解答
\((1)x^{2}+3x+2=(x+2)(x+1)\)
\((2)x^{3}-3x^{2}+3x-1=(x-1){3}\)
\((3)x^{3}+27=(x+3)(x^{2}-3x+9)\)
\((4)3x^{2}+7x-6=(3x-2)(x+3)\)
\(\begin{align}(5)4x^{2}-10x-6&=2(2x^{2}-5x-3)\\ &=2{(2x+1)(x-3)} \end{align}\)
まとめ
\(3x^{2}+9x+27=3(x^{2}+3x+9)\)
\(14x^{2}+14x+7=7(2x^{2}+2x+1)\)
\(3x^{2}+9x+27=3(x^{2}+3x+9)\)
\(14x^{2}+14x+7=7(2x^{2}+2x+1)\)
共通因数がある場合は一番最初にくくりだします。
そのほうが式がシンプルになり因数分解しやすいからです。
- \((a+b)(a-b)=a^{2}-b^{2}\)
- \((a+b)^{2}=a^{2}+2ab+b^{2}\)
- \((a-b)^{2}=a^{2}-2ab+b^{2}\)
- \((a+b)(a^{2}-ab+b^{2})=a^{3}+b^{3}\)
- \((a-b)(a^{2}+ab+b^{2})=a^{3}-b^{3}\)
- \((a+b)^{3}=a^{3}+3a^{2}b+3ab^{2}+b^{3}\)
- \((a-b)^{3}=a^{3}-3a^{2}b+3ab^{2}-b^{3}\)
- \((a+b+c)(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca)=a^{3}+b^{3}+c^{3}-3abc\)
- \((a+b)(a-b)=a^{2}-b^{2}\)
- \((a+b)^{2}=a^{2}+2ab+b^{2}\)
- \((a-b)^{2}=a^{2}-2ab+b^{2}\)
- \((a+b)(a^{2}-ab+b^{2})=a^{3}+b^{3}\)
- \((a-b)(a^{2}+ab+b^{2})=a^{3}-b^{3}\)
- \((a+b)^{3}=a^{3}+3a^{2}b+3ab^{2}+b^{3}\)
- \((a-b)^{3}=a^{3}-3a^{2}b+3ab^{2}-b^{3}\)
- \((a+b+c)(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca)=a^{3}+b^{3}+c^{3}-3abc\)
\(4, 5, 8\) は展開の例題で出したものです。
この形の因数分解は機械的に処理できるので覚えておきましょう。
\(2x^{2}+7x+3=(2x+1)(x+3)\)
\(3x^{2}-4x-7=(3x-7)(x+1)\)
\(2x^{2}+7x+3=(2x+1)(x+3)\)
\(3x^{2}-4x-7=(3x-7)(x+1)\)
二次式 \(acx^{2}+(ad+bc)x+bd\) を因数分解すると \((ax+b)(cx+d)\) となるので二次式の \(ac, bd\) 部分に注目して候補を絞り因数分解する。
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