数学基礎(解と係数の関係)

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今回は解と係数の関係について説明していきます。

関数分野でも時々使うのでこの記事を通して理解して使えるようになってくれたら幸いです。

今回の内容

解と係数の関係とは

そもそも、解と係数の関係とは何でしょうか。

解と係数の関係

解と係数の関係とは \(n\)次方程式の係数と解の関係を示すもの。

具体例を出します。

例えば、一次方程式 \(ax=b (a\neq0)\) について考えてみます。

この一次方程式が \(x=α\) を解に持つとき、\(ax=aα\) より \(aα=b\) が成り立ちます。

よって、\(a\neq0\) より一次方程式の解と係数の関係は \(α=\displaystyle\frac{b}{a}\) となります。

受験で出題されるのは二次方程式と三次方程式の解と係数の関係なので、今回はその二つを扱っていきます。

また、解と係数の関係で重要なのは結果ではなく導出過程です。導出方法を理解しておけば、もし忘れてもその場で導くことが出来るので導出過程を理解するようにしてください。

解と係数の関係(二次方程式)

二次方程式の一般系は \(ax^{2}+bx+c=0 ((a\neq0)\) です。

この二次方程式が \(α, β\) を解に持つとき、式はどのように書けるでしょうか。

正解は \((x-α)(x-β)=0\) です。これは、因数分解された形になっています。

この式を展開すると \(x^{2}-(α+β)x+αβ=0\) となります。

最高次の係数を合わせるために両辺に \(a\) をかけると \(ax^{2}-a(α+β)x+aαβ=0\) となります。

ここで係数比較することで

$$\begin{cases} α+β=-\displaystyle\frac{b}{a}\\ αβ=\displaystyle\frac{c}{a} \end{cases}$$

を得ます。

解と係数の関係(二次方程式)

\(a\neq0\) を満たす二次方程式 \(ax^{2}+bx+c\) の二解を \(α, β\) とすると

$$\begin{cases} α+β=-\displaystyle\frac{b}{a}\\ αβ=\displaystyle\frac{c}{a} \end{cases}$$

となる。

例題

\(x^{2}+x+1\) の二解を \(α, β\) とするとき、下記の値を求めよ。

(1)\(α+β, αβ\)

(2)\((α-β)^{2}\)

(3)\(\left(\displaystyle\frac{α}{β}-\displaystyle\frac{β}{α}\right)^{2}\)

(4)\(α^{3}+β^{3}\)

解答

(1)解と係数の関係より \(α+β=-1, αβ=1\)

\((2)(α-β)^{2}=(α+β)^{2}-4αβ\) となるから、(1)の結果より

   \((α-β)^{2}=-3\)

\(\begin{align}(3)\left(\displaystyle\frac{α}{β}-\displaystyle\frac{β}{α}\right)^{2}&=\left(\displaystyle\frac{α^{2}-β^{2}}{αβ}\right)^{2}\\ &=\left(\displaystyle\frac{(α+β)(α-β)}{αβ}\right)^{2}\\ &=\displaystyle\frac{(α+β)^{2}(α-β)^{2}}{(αβ)^{2}}\end{align}\)

   ここで(1)(2)の結果より

   \(\left(\displaystyle\frac{α}{β}-\displaystyle\frac{β}{α}\right)^{2}=-3\)

(4)因数分解することにより

   \(\begin{align}α^{3}+β^{3}&=(α+β)(α^{2}-αβ+β^{2})\\ &=(α+β)\{(α+β)^{2}-3αβ)\}\end{align}\)

   よって、(1)の結果より

   \(α^{3}+β^{3}=2\)

これらの式変形は解と係数の関係を用いた問題では頻出なので覚えておきましょう。

解と係数の関係(三次方程式)

同様に三次方程式でも解と係数の関係を求めていきましょう。

三次方程式の一般系は \(ax^{3}+bx^{2}+cx+d=0 ((a\neq0)\) です。

二次方程式のときと同様に考えて \((x-α)(x-β)(x-γ)=0 \) を展開した式に \(a\) をかけて係数比較をすると

$$\begin{cases} α+β+γ=-\displaystyle\frac{b}{a}\\ αβ+βγ+γα=\displaystyle\frac{c}{a}\\ αβγ=-\displaystyle\frac{d}{a} \end{cases}$$

を得ます。

解と係数の関係(三次方程式)

\(a\neq0\) を満たす三次方程式 \(ax^{3}+bx^{2}+cx+d\) の三解を \(α, β, γ\) とすると

$$\begin{cases} α+β+γ=-\displaystyle\frac{b}{a}\\ αβ+βγ+γα=\displaystyle\frac{c}{a}\\ αβγ=-\displaystyle\frac{d}{a} \end{cases}$$

となる。

例題

\(x^{3}+x^{2}+x+n=0 (n:整数)\) の三解を \(α, β, γ\) とするとき、下記の値を求めよ。

(1)\(α+β+γ, αβ+βγ+γα, αβγ\)

(2)\(α^{2}+β^{2}+γ^{2}\)

(3)\(α^{3}+β^{3}+γ^{3}=5\) となる \(n\)

解答

(1)解と係数の関係より \(α+β+γ=-1, αβ+βγ+γα=1, αβγ=-n\)

(2)\((α+β+γ)^{2}=α^{2}+β^{2}+γ^{2}+2(αβ+βγ+γα)\) より

   (1)の結果を用いて \(α^{2}+β^{2}+γ^{2}=-1\)

(3)因数分解より

   \(α^{3}+β^{3}+γ^{3}-3αβγ=(α+β+γ)(α^{2}+β^{2}+γ^{2}-(αβ+βγ+γα)\)

   であるから、(1)(2)の結果を用いて

   \(α^{3}+β^{3}+γ^{3}=2-3n\)

   となるから求める \(n\) の値は \(-1\)

これらの式変形は解と係数の関係を用いた問題では頻出なので覚えておきましょう。

解と係数の関係(一般化)

解と係数の関係は導出手順が重要だと冒頭で書きました。

なので、解と係数の関係を導出する過程を一般化していきたいと思います。

解と係数の導出

\(n\) 次方程式 \(a_{n}x^{n}+a_{n-1}x^{n-1}+…+a_{1}x+a_{0}=0 (a_{n}\neq0)\) の \(n\) 個の解を \(p_{n}, …, p_{0}\) とする。

STEP
\(n\) 個の解を用いた因数分解の形を考える

\(n\) 個の解が \(p_{n}, …, p_{0}\) であるから、\((x-p_{n})(x-p_{n-1})…(x-p_{0})=0\) を考える。

STEP
STEP1で求めた方程式を展開する

\((x-p_{n})(x-p_{n-1})…(x-p_{0})\) を展開すると \(x^{n}+…+p_{n}p_{n-1}…p_{0}\) となるから

\(x^{n}+…+p_{n}p_{n-1}…p_{0}=0\)

STEP
もとの\(n\) 次方程式の最高次係数を展開式にかける

\(x^{n}+…+p_{n}p_{n-1}…p_{0}=0\) に \(a_{n}\) をかけると \(a_{n}x^{n}+…+a_{n}p_{n}p_{n-1}…p_{0}=0\) となる。

STEP
係数比較をすることで解と係数の関係を求める

\(a_{n}x^{n}+a_{n-1}x^{n-1}+…+a_{1}x+a_{0}=0\) と \(a_{n}x^{n}+…+a_{n}p_{n}p_{n-1}…p_{0}=0\) について係数比較をして関係式を導き出す。

最後に

今回は高校数学で重要な関係である解と係数の関係について説明しました。

問題で直接問われることはあまりないと思いますが関数分野で解法の途中に使うことがあります。

何度も言いますが解と係数の関係は結果より導出過程が重要なので二次方程式と三次方程式での解と係数の関係は自分で導けるようになるまで理解を深めるようにしてください。

まとめ
解と係数の関係

解と係数の関係とは \(n\)次方程式の係数と解の関係を示すもの。

解と係数の関係(二次方程式)

\(a\neq0\) を満たす二次方程式 \(ax^{2}+bx+c\) の二解を \(α, β\) とすると

$$\begin{cases} α+β=-\displaystyle\frac{b}{a}\\ αβ=\displaystyle\frac{c}{a} \end{cases}$$

となる。

解と係数の関係(三次方程式)

\(a\neq0\) を満たす三次方程式 \(ax^{3}+bx^{2}+cx+d\) の三解を \(α, β, γ\) とすると

$$\begin{cases} α+β+γ=-\displaystyle\frac{b}{a}\\ αβ+βγ+γα=\displaystyle\frac{c}{a}\\ αβγ=-\displaystyle\frac{d}{a} \end{cases}$$

となる。

解と係数の導出

\(n\) 次方程式 \(a_{n}x^{n}+a_{n-1}x^{n-1}+…+a_{1}x+a_{0}=0 (a_{n}\neq0)\) の \(n\) 個の解を \(p_{n}, …, p_{0}\) とする。

STEP
\(n\) 個の解を用いた因数分解の形を考える

\(n\) 個の解が \(p_{n}, …, p_{0}\) であるから、\((x-p_{n})(x-p_{n-1})…(x-p_{0})=0\) を考える。

STEP
STEP1で求めた方程式を展開する

\((x-p_{n})(x-p_{n-1})…(x-p_{0})\) を展開すると \(x^{n}+…+p_{n}p_{n-1}…p_{0}\) となるから

\(x^{n}+…+p_{n}p_{n-1}…p_{0}=0\)

STEP
もとの\(n\) 次方程式の最高次係数を展開式にかける

\(x^{n}+…+p_{n}p_{n-1}…p_{0}=0\) に \(a_{n}\) をかけると \(a_{n}x^{n}+…+a_{n}p_{n}p_{n-1}…p_{0}=0\) となる。

STEP
係数比較をすることで解と係数の関係を求める

\(a_{n}x^{n}+a_{n-1}x^{n-1}+…+a_{1}x+a_{0}=0\) と \(a_{n}x^{n}+…+a_{n}p_{n}p_{n-1}…p_{0}=0\) について係数比較をして関係式を導き出す。

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