二次関数を解く上で必須なテクニックの平方完成を扱います。
僕も初めて見たときは何のためにこんな変換するのか分からなかったし名前がカッコイイなぐらいにしか思ってませんでした。
しかし、二次関数の問題を解く場合に最初にやることは関数を平方完成することです。
今回の記事を通して一般的な二次式である \(ax^{2}+bx+c\) の平方完成が出来るようになりましょう。
\(a\neq0\) のとき、二次式 \(ax^{2}+bx+c\) を
$$a(x+p)^{2}+q$$
の形に変換する操作を平方完成と言う。
文字だと分かりにくいので具体例を出します。
例えば \(x^{2}+2x+3\) を平方完成する過程を以下に示します。
\(x^{2}+2x+3\)
\((x^{2}+2x+1)+2\)
\((x+1)^{2}+2\)
これを見て何をやってるかを理解できたのであれば簡単な平方完成は解けると思います。
問題は分からない場合ですが、この手順には二つの段階があります。
$$手順1:x^{2}+2x+3→(x^{2}+2x+1)+2$$
$$手順2:(x^{2}+2x+1)+2→(x+1)^{2}+2$$
手順2はただの因数分解なのでこれが分からない場合は因数分解の記事を読んでください。
重要なのは手順1です。特に今回の場合だとどういう理屈で1だけを分けたのかが分からないと思います。
実際のところ、平方完成をするうえで上の手順のように考えてする人はおそらくいません。
では、どのような手順で平方完成するのが一般的なのでしょうか。以下に例を示します。
\(x^{2}+2x+3\)
\((x+1)^{2}+q\)
\((x+1)^{2}=(x^{2}+2x+1)\) より \(q+1=3\)
\(∴q=2\)
よって、\((x+1)^{2}+2\)
なんか複雑に見えますね。ですが、部分ごとに見ていけばそれほど難しくありません。
重要なのは手順1です。
$$手順1:(x+1)^{2}+q$$
ここで、\((x+1)^{2}\) の1はどのようにして導出できるのでしょうか。これは、\(x^{2}+2x+3\) におけるxの係数を2で割った値が来ます。
次に手順2以降ですが、これは辻褄合わせをしているだけです。\((x+1)^{2}=x^{2}+2x+1\) ですが元の式は \(x^{2}+2x+3\) ですので \((x+1)^{2}+2\) とすれば一致します。
では、文字であらわした式で平方完成の手順を考えていきましょう。
\(x^{2}+ax+b\)
\(\left(x+\displaystyle\frac{a}{2}\right)^{2}=x^{2}+ax+\displaystyle\frac{a^{2}}{4}\) であるから
\(\left(x+\displaystyle\frac{a}{2}\right)^{2}-\displaystyle\frac{a^{2}}{4}+b\)
平方完成の方法は理解できましたか。以下に例題を示すので解いてみてください。
以下の二次式を平方完成せよ。
(1)\(x^{2}+4x+1\)
(2)\(x^{2}-8x+16\)
(3)\(x^{2}+1x+1\)
(4)\(x^{2}-4x\)
解答
(1)\(x^{2}+4x+1\)
\((x+2)^{2}=x^{2}+4x+4\) より
\((x+2)^{2}-3\)
(2)\(x^{2}-8x+16\)
\((x-4)^{2}=x^{2}-8x+16\) より
\((x-4)^{2}\)
(3)\(x^{2}+1x+1\)
\(\left(x+\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{2}=x^{2}+x+\displaystyle\frac{1}{4}\) より
\(\left(x+\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{2}+\displaystyle\frac{3}{4}\)
(4)\(x^{2}-4x\)
\((x-2)^{2}=x^{2}-4x+4\) より
\((x-2)^{2}-4\)
ここまでの内容が分かってれば一般的な二次式である \(ax^{2}+bx+c\) の平方完成も簡単にできます。一つ手順が増えるだけです。
\(ax^{2}+bx+c\)
\(a\left(x^{2}+\displaystyle\frac{b}{a}x+\displaystyle\frac{c}{a}\right)\)
\(\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}=x^{2}+\displaystyle\frac{b}{a}x+\displaystyle\frac{b^{2}}{4a^{2}}\) であるから
\(\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{2}}{4a^{2}}+\displaystyle\frac{c}{a}\)
\(a\left\{\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{2}}{4a^{2}}+\displaystyle\frac{c}{a}\right\}\)
\(a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{2}}{4a}+c\)
最初に最高次である \(x^{2}\) の係数 \(a\) でくくる手順が増えただけです。簡単ですよね。
以下に例題を示すので解いてみてください。
以下の二次式を平方完成せよ。
(1)\(3x^{2}+6x+9\)
(2)\(-2x^{2}+12x-18\)
(3)\(5x^{2}+2x-5\)
(4)\(7x^{2}+21x\)
解答
(1)\(3x^{2}+6x+9\)
\(3(x^{2}+2x+3)\)
\((x+1)^{2}=x^{2}+2x+1\) より
\(3((x+1)^{2}+2)\)
\(3(x+1)^{2}+6\)
(2)\(-2x^{2}+12x-18\)
\(-2(x^{2}-6x+9)\)
\((x+3)^{2}=x^{2}+6x+9\) より
\(-2(x+3)^{2}\)
(3)\(5x^{2}+2x-5\)
\(5\left(x^{2}+\displaystyle\frac{2}{5}x-1\right)\)
\(\left(x+\displaystyle\frac{1}{5}\right)^{2}=x^{2}+\displaystyle\frac{2}{5}x+\displaystyle\frac{1}{25}\) より
\(5\left\{\left(x+\displaystyle\frac{1}{5}\right)^{2}-\displaystyle\frac{26}{25}\right\}\)
\(5\left(x+\displaystyle\frac{1}{5}\right)^{2}-\displaystyle\frac{26}{5}\)
(4)\(7x^{2}+21x\)
\(7(x^{2}+3x)\)
\(\left(x+\displaystyle\frac{3}{2}\right)^{2}=x^{2}+3x+\displaystyle\frac{9}{4}\) より
\(7\left\{\left(x+\displaystyle\frac{3}{2}\right)^{2}-\displaystyle\frac{9}{4}\right\}\)
\(7\left(x+\displaystyle\frac{3}{2}\right)^{2}-\displaystyle\frac{63}{4}\)
解けたのであれば平方完成はマスターです。最後に今回の内容をまとめていきます。
平方完成とは二次式 \(ax^{2}+bx+c\) を
$$a(xの式)^{2}+定数$$
の形に変形する操作である。
二次式 \(ax^{2}+bx+c\) の平方完成の手順は
$$a\left(x^{2}+\displaystyle\frac{b}{a}x+\displaystyle\frac{c}{a}\right)$$
$$\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}=x^{2}+\displaystyle\frac{b}{a}x+\displaystyle\frac{b^{2}}{4a^{2}}$$
$$a\left\{\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{2}}{4a^{2}}+\displaystyle\frac{c}{a}\right\}$$
$$a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{2}}{4a}+c$$
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