今回は二次関数基礎の第2弾としてグラフを扱います。
具体的な内容は二次関数グラフの表記法、軸、頂点などについてです。
高校数学は関数が出来ないと終わります。
色々な分野で出てくるからです。
特にグラフの図示が出来ないと高校数学が嫌いになることが確定してしまうので今回の記事でしっかり解説していきます。
また、今回の内容では平方完成の知識が必要なので平方完成が分からないという人は以下の記事をご覧ください。
本記事を通して二次関数グラフの基礎を理解して簡単な問題が解けるようになってくれたら幸いです。
二次関数の表記法
二次関数の一般式は \(f(x)=ax^{2}+bx+c\) と表すことが出来ます。
もしかしたら、教科書などには \(y=ax^{2}+bx+c\) と書いてあるかもしれませんが本記事では \(f(x)\) を用います。
何故かというと便利だからですね。
例えば、\(x=1\) の値と \(x=0\) の値が必要な時に \(y=ax^{2}+bx+c\) で考えると \(y=a+b+c, y=c\) と出ますがこの書き方だと \(x\) に何の値を入れた結果なのかが分かりにくいです。
ですが、\(f(x)=ax^{2}+bx+c\) と置けば、\(f(1)=a+b+c, f(0)=c\) と書けるので \(x\)に何の値を入れた結果なのかがシンプルに書くことが出来ます。
以下に例題を示します。必要ない人は読み飛ばしてもらって構いません。
\(f(x, y, z)=x^{2}y+y^{2}z+z^{2}x\) とするとき下記の問いに答えよ。
(1)\(f(2, y, z)\)
(2)\(f(-1, y, 3)\)
(3)\(f(1, 0, 2)\)
解答
(1)\(f(2, y, z)\)
\(=2^{2}y+y^{2}z+z^{2}・2\)
\(=4y+y^{2}z+2z^{2}\)
(2)\(f(-1, y, 3)\)
\(=(-1)^{2}y+y^{2}・3+3^{2}・(-1)\)
\(=y+3y^{2}-9\)
(3)\(f(1, 0, 2)\)
\(=1^{2}・0+0^{2}・2+2^{2}・1\)
\(=4\)
直線式・平行移動
一般的な二次関数グラフを考えるときに必要な知識をまとめておきます。
こちらも簡単な内容なので分かってる人は読み飛ばしてもらって構いません。
直線式
最初に説明するのは直線式についてです。
直線式の一般系は \(y=ax+b\) であり、これは知っていると思います。
その他にも直線式として \(y=a\) や \(x=a\) という式があります。
\(y=a\) というしきは任意の \(x\) に対して \(y=a\) を取るので \(x\) 軸に平行な直線になります。
同様に \(x=a\) は \(y\) 軸に平行な直線になります。
直線式は一次関数である \(f(x)=ax+b\) のほかに \(x=a\) や \(y=a\) などがある。
\(x\) 軸と \(y\) 軸の直線式を求めよ。
解答
\(x\) 軸の直線式:\(y=0\)
\(y\) 軸の直線式:\(x=0\)
平行移動
次に平行移動について説明します。
平行移動とは簡単に言うと \(x\) 軸または \(y\) 軸に対して平行に点を移動させることを言います。
例えば、\((2, 3)\) という点を \(x\) 軸方向に \(2\)、\(y\) 軸方向に \(1\) 平行移動させると \((4, 4)\) に移動することになります。
平行移動とは \(x\) 軸または \(y\) 軸に対して平行に点を移動させることを言う。
一般に \((a, b)\) を \(x\) 軸方向に \(p\)、\(y\) 軸方向に \(q\) 平行移動させると \((a+p, b+q)\) に移動することになる。
では、一次関数 \(f(x)=ax+b\) を \(x\) 軸方向に \(p\)、\(y\) 軸方向に \(q\) 平行移動することを考えてみましょう。
関数は基本的に点の集合なので \((x, f(x))\) を \(x\) 軸方向に \(p\)、\(y\) 軸方向に \(q\) 平行移動させることを考えれば良いことになります。
ここで、\(f(x)+q=a(x+p)+b\) になると考えて人はいないでしょうか。
実はこれは間違っています。
考え方のポイントは移動先の座標を \((X, F(X))\) と置くことです。
こうすれば、平行移動の考え方より \(X=x+p, F(X)=f(x)+q\) となります。
よって、 \(x=X-p, f(x)=F(X)-q\) となるので \(f(x)=ax+b\) に代入して \(F(X)-q=a(X-p)+b\) となります。
\(F(X)=Y\) よりこのグラフは \(XY\) 平面でのグラフですが \(XY\) 平面と \(xy\) 平面は同一視できるので \(X, Y\)を \(x, y\) に書き換えて \(f(x)-q=a(x-p)+b\) となります。
このように、移動先の座標を \((X, F(X))\) と置いて \(X, F(X)\) の関係式を求めたのちに \(x, f(x)\) に書き換えて答えを導くのは軌跡と領域の分野でも頻出なので覚えておいてください。
一般に関数 \(f(x)\) を \(x\) 軸方向に \(p\)、\(y\) 軸方向に \(q\) 平行移動させると \(f(x-p)-q\) となる。
グラフ
一般的な二次関数グラフの概形について考えていきます。
中学でも扱うような簡単な二次関数である \(f(x)=ax^{2}\) から考えていきます。
グラフを図示すると以下のようになります。
これは、知ってると思います。
この \(f(x)\) のグラフを \(x\) 軸方向に \(p\)、\(y\) 軸方向に \(q\) に平行移動したグラフを考えると。
$$f(x)=a(x-p)^{2}+q$$
とあらわすことが出来ます。
このとき、\(x=p\) を軸、\((p, q)\) を頂点と言い、\(a>0\) のとき、下に凸のグラフ、\(a<0\) のとき、上に凸のグラフと言います。
また、\((x-p)^{2}\) の部分を展開して整理すると \(f(x)=ax^{2}-2apx+ap^{2}+q\) となり、\(-2ap, ap^{2}+q\) は定数より、それぞれ \(b, c\) と置くと \(f(x)=ax^{2}+bx+c\) となります。
グラフを図示すると以下のようになります。
\(a, p, q\) の値を変えてグラフがどう動くか確認してみてください。
二次関数の一般的は \(f(x)=ax^{2}+bx+c\) と \(f(x)=a(x-p)^{2}+q\) である。
\(f(x)=a(x-p)^{2}+q\) において\(x=p\) を軸、\((p, q)\) を頂点と言う。
\(a>0\) のとき、下に凸のグラフ、\(a<0\) のとき、上に凸のグラフと言う。
一般式のメリット・デメリット
先に表したように二次関数の一般式は \(f(x)=ax^{2}+bx+c\) と \(f(x)=a(x-p)^{2}+q\) があります。
二次関数の問題を解くときは問題文でいずれかの形が与えられると思うので必ず最初にどちらの形も書いたうえで問題を解いたほうが良いです。
何故かというとそれぞれの形にメリット・デメリットがあるからです。
メリット
- \(f(x)=0\) となる \(x\) を求めるとき、因数分解するだけで良い。
- \(f(x)\) の値を考えるときに計算が楽になる。
デメリット
- 頂点座標が分かりにくい
メリット
- 頂点座標が分かりやすい。
デメリット
- \(f(x)=0\) となる \(x\) を求めるのが難しい。
- \(f(x)\) の値を考えるときに計算が少し面倒になる場合がある。
順に説明していきます。
\(f(x)=0\) となる \(x\) を求めるとき、因数分解するだけで良いというのは二次関数グラフと \(x\) 軸との交点を座標を求めるのが簡単であることを表しています。
二次関数グラフが \((x-a)(x-b)\) と因数分解できるとしたら \(x\) 軸との交点座標は \((a, 0), (b, 0)\) となります。
因数分解が分からないという人は以下の記事をご覧ください。
\(f(x)\) の値を考えるときに計算が楽になるというのは、単純に代入計算が簡単という意味です。
特に \(x=-1, 0, 1\) などを求めるときは楽になります。
しかし、\(f(x)=ax^{2}+bx+c\) の形では頂点座標が分かりにくいというデメリットがあります。
頂点座標がなぜ重要なのかというと最大値・最小値を求めるときに必要になる場合が多いからです。
\(f(x)=a(x-p)^{2}+q\) であればすぐに頂点座標が分かるので必ず二つの形であらわすようにしてください。
二次関数 \(f(x)\) を
$$f(x)=ax^{2}+bx+c (a>0)$$
と定義する。下記の問いに答えなさい。
(1)頂点の座標を \(a, b, c\) を用いて表せ。
(2)\(a\) の値を増加させるとき頂点はどのように動くか。
(3)\(a, b\) の値によらず必ず通る点の座標を求めよ。
解答
(1)\(f(x)=ax^{2}+bx+c\) を平方完成すると \(a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{2}}{4a}+c\) となるから
頂点座標は \(\left(-\displaystyle\frac{b}{2a}, c-\displaystyle\frac{b^{2}}{4a}\right)\)
(2)\(a\) の値を増加させると(1)の結果より \((0, c)\) に近づく
(3)\(x=0\) のとき、\(a, b\) の値によらず \(f(0)=c\) となるから、求める座標は \((0, c)\)
まとめ
今回の記事では二次関数グラフの基本事項に関してまとめました。
次回は二次関数グラフで頻出の最大値・最小値を扱います。
最後にGeogebraというサイトを用いて作った二次関数のサンプルを下に示すので値を変えて概形がどうなるのかを確認してみてください。
Geogebraは様々な関数を \(xy\) 平面に図示できるのでとても便利です。
概形が良く分からない関数に出会ったときはGeogebraを使うことをお勧めします。
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