二次関数基礎(判別式)

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今回は二次関数分野や二次方程式で使う判別式について説明します。

内容自体は簡単ですが何故そうなるのかを理解して使えるように本記事を通して判別式の意味を理解してくれたら幸いです。

今回の内容

判別式とは

先に判別式とはどのようなものなのかを説明しておきます。

判別式

二次方程式 \(A:ax^{2}+bx+c=0\) に対して \(D=b^{2}-4ac\) と置くとき

\(D \gt 0\) ならば \(A\) は異なる実数解を二つ持つ

\(D = 0\) ならば \(A\) は重解を持つ

\(D \lt 0\) ならば \(A\) は実数解を持たない

とても簡単ですね。

判別式は二次方程式の実数解の個数を判別するものです。

以下に例題を示すので解いてみてください

例題

以下の二次方程式の実数解の個数を求めよ

(1)\(x^{2}+3x+1=0\)

(2)\(x^{2}+2x+1=0\)

(3)\(5x^{2}+10x+13=0\)

(4)\(-3x^{2}+8x+2=0\)

解答

(1)判別式を \(D\) とすると

   \(D=3^{2}-4 \cdot 1 \cdot 1\)

   \(D=5 \gt 0\)

   より実数解の個数は \(2\)

(2)判別式を \(D\) とすると

   \(D=2^{2}-4 \cdot 1 \cdot 1\)

   \(D=0\)

   より実数解の個数は \(1\)

(3)判別式を \(D\) とすると

   \(D=10^{2}-4 \cdot 5 \cdot 13\)

   \(D=-160 \lt 0\)

   より実数解の個数は \(0\)

(4)判別式を \(D\) とすると

   \(D=8^{2}-4 \cdot (-3) \cdot 2\)

   \(D=88 \gt 0\)

   より実数解の個数は \(2\)

解答では \(D\) の値を具体的に出してますが重要なのは \(D\) が \(0\) なのか、大きいのか、小さいのかなので具体値を出さないでも判断できるなら \(D\) の値を出す必要はありません。

特に判別式は二次方程式 \(A:ax^{2}+bx+c=0\) に対して \(D=b^{2}-4ac\) となるので、\(-4ac\) の符号が正なら \(D \gt 0\) が確定します。

判別式の導出

では、判別式を導出していきましょう。

導出過程を知ることで判別式がなぜ二次方程式の実数解の個数を表すのかが分かると思います。

(導出方法1)解の公式の利用

導出方法の一つに解の公式を利用する方法があります。

解の公式を利用する方法
STEP
二次方程式の左辺を平方完成する

二次方程式 \(ax^{2}+bx+c=0\) の左辺を平方完成すると \(a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\left(\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a}\right)=0\) より

両辺 \(a\) で割って移行すると \(\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}=\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a^{2}}\) となる。

STEP
方程式の解を求める

\(\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}=\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a^{2}}\) を解くと \(x+\displaystyle\frac{b}{2a}=\pm \displaystyle\frac{\sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}\) となるから

\(\displaystyle\frac{b}{2a}\) を移行して \(x=\displaystyle\frac{-b \pm \sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}\) を得る

STEP
\(\sqrt{b^{2}-4ac}\) の符号で場合分け

実数解の個数は \(x=\displaystyle\frac{-b \pm \sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}\) が存在する個数によるので場合分けを行う

\(b^{2}-4ac \gt 0\) のとき、解は二つ存在する。

\(b^{2}-4ac = 0\) のとき、解は一つ存在する。

\(b^{2}-4ac \lt 0\) のとき、ルートの中身が負になるので解は存在しない。

(導出方法2)グラフの利用

二次関数 \(ax^{2}+bx+c\) と \(x\) 軸との交点の個数が \(ax^{2}+bx+c=0\) の実数解の個数に一致することを利用して考えていきます。

前述したように \(ax^{2}+bx+c\) を平方完成すると \(a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\left(\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a}\right)\) となることを利用して場合分けしていきます。

グラフの利用

グラフの最小値は頂点の \(y\) 座標より \(-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a}\) である。

\(a \gt 0\) のとき

\(-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a} \lt 0\) および \(-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a} \gt 0\) のとき、\(a \gt 0\) より \(-4a \lt 0\) であるから、不等号が反転することに注意すると

\(b^{2}-4ac \gt 0\) で実数解を二つ持つ。

\(b^{2}-4ac = 0\) で実数解を一つ持つ。

\(b^{2}-4ac \lt 0\) で実数解を持たない。

\(a \lt 0\) のとき

\(-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a} \lt 0\) および \(-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a} \gt 0\) のとき、\(a \lt 0\) より \(-4a \gt 0\) であるから、不等号が反転しないことに注意すると

\(b^{2}-4ac \gt 0\) で実数解を二つ持つ。

\(b^{2}-4ac = 0\) で実数解を一つ持つ。

\(b^{2}-4ac \lt 0\) で実数解を持たない。

以上の結果より \(a\) の符号によらず判別式は同じ結果になるのが分かると思います。

では、最後にグラフと判別式の融合問題を示すので解いてみてください。

例題

問一 二次方程式を \(ax^{2}+2bx+c=0\) とする。この式の判別式を \(D\) とおくとき

$$D=b^{2}-ac$$

として考えても良いことを示せ。

問二 \(f(x)=x^{2}+ax+b, g(x)=ax^{2}+bx+1\) と定義する。以下の問いに答えよ。

(1)\(f(x), g(x)\) が共に実数解を一つ持つときの条件式を示し、それらを \(ab\) 平面に図示せよ。

(2)\(f(x), g(x)\) が共に実数解を一つ持つような \(a, b\) を全て求めよ。

解答

問一

二次方程式を \(ax^{2}+2bx+c=0\) において、判別式を求めると

\(\begin{align} D&=(2b)^{2}-4 \cdot a \cdot c\\ &=4b^{2}-4ac\\ &=4(b^{2}-ac) \end{align}\)

となる。ここで、\(D \gt 0, D = 0, D \lt 0\) いづれの場合において定数 \(4\) を割って考えても問題ないので \(D=b^{2}-ac\) としても良い。

問二

(1)判別式を用いると \(f(x), g(x)\) が共に実数解を一つ持つときの条件式は

\begin{cases} a^{2}-4b=0\\ b^{2}-4a=0 \end{cases}

となり、\(ab\) 平面に図示すると以下のようになる。

最後に

今回は二次方程式やグラフ分野で使う判別式について説明しました。

次回からは三角比・三角関数について説明していきます。

まとめ
判別式

二次方程式 \(A:ax^{2}+bx+c=0\) に対して \(D=b^{2}-4ac\) と置くとき

\(D \gt 0\) ならば \(A\) は異なる実数解を二つ持つ

\(D = 0\) ならば \(A\) は重解を持つ

\(D \lt 0\) ならば \(A\) は実数解を持たない

解の公式を利用する方法
STEP
二次方程式の左辺を平方完成する

二次方程式 \(ax^{2}+bx+c=0\) の左辺を平方完成すると \(a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\left(\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a}\right)=0\) より

両辺 \(a\) で割って移行すると \(\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}=\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a^{2}}\) となる。

STEP
方程式の解を求める

\(\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}=\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a^{2}}\) を解くと \(x+\displaystyle\frac{b}{2a}=\pm \displaystyle\frac{\sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}\) となるから

\(\displaystyle\frac{b}{2a}\) を移行して \(x=\displaystyle\frac{-b \pm \sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}\) を得る

STEP
\(\sqrt{b^{2}-4ac}\) の符号で場合分け

実数解の個数は \(x=\displaystyle\frac{-b \pm \sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}\) が存在する個数によるので場合分けを行う

\(b^{2}-4ac \gt 0\) のとき、解は二つ存在する。

\(b^{2}-4ac = 0\) のとき、解は一つ存在する。

\(b^{2}-4ac \lt 0\) のとき、ルートの中身が負になるので解は存在しない。

グラフの利用

グラフの最小値は頂点の \(y\) 座標より \(-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a}\) である。

\(a \gt 0\) のとき

\(-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a} \lt 0\) および \(-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a} \gt 0\) のとき、\(a \gt 0\) より \(-4a \lt 0\) であるから、不等号が反転することに注意すると

\(b^{2}-4ac \gt 0\) で実数解を二つ持つ。

\(b^{2}-4ac = 0\) で実数解を一つ持つ。

\(b^{2}-4ac \lt 0\) で実数解を持たない。

\(a \lt 0\) のとき

\(-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a} \lt 0\) および \(-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a} \gt 0\) のとき、\(a \lt 0\) より \(-4a \gt 0\) であるから、不等号が反転しないことに注意すると

\(b^{2}-4ac \gt 0\) で実数解を二つ持つ。

\(b^{2}-4ac = 0\) で実数解を一つ持つ。

\(b^{2}-4ac \lt 0\) で実数解を持たない。

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